顎顔面矯正
子供の顎顔面矯正についてご紹介いたします
顎顔面矯正とは
顎顔面矯正は、顎の成長を促すことで歯が並ぶスペースを作る矯正治療法です。従来から行われている一般矯正は、顎の骨に収まりきらない歯を抜いて、ブラケットを用いて歯をキレイに並べていきます。
それに対して、早期の小児矯正の治療である顎顔面矯正では、骨格が固まる前に顎の骨の成長を促します。顎の骨を広げておくことで、永久歯が生えてきた時、本来並ぶべき位置にキレイに収めることができるのです。
従来から行われている一般矯正の仕組み
歯を抜く
歯を抜くことで、歯が並ぶ
歯を抜かない顎顔面矯正の仕組み
歯を抜かずに…
顎を大きくすることで、歯が並ぶ
顎顔面矯正の適齢期
適齢期は、5~12歳くらいです。この治療は子供のうちしかできません! 個人差はありますが、5歳(年長)から9歳(小学3年生)くらいまでに開始しているお子さんは、歯を抜かずに歯並びをキレイにすることができています。
顎顔面矯正の必要性
現代人は、歯が大きくなり顎が小さくなる傾向にあります。特に最近のお子さんにはこの傾向が多くみられます。顎が小さくなる一番の原因は、食生活にあります。昔の人は、食事に時間をかけ、ゆっくり噛んで食べることで顎の骨がしっかり成長していましたが、現代の子供が大好きなカレーやハンバーグ、アイスクリームやスナック菓子は、しっかりと噛まなくても食べることができます。
そのため顎が小さくなるにも関わらず、歯は大きく、歯の数は変わらないので、歯が顎に入りきらなくなってしまいます。その結果、歯並びがガタついたり、歯が生えてこなかったりして、歯並びが悪くなるのです。
子供の早い時期にこのような顎の状態が把握できると、顎の骨の成長を促してあげることができます。そして、自然にキレイな歯並びをつくることができるのです。
「顎が小さくなる傾向を早い段階で察知し、子どもの顎の成長を促す」顎顔面矯正は、まさに現代のお子さんに合った矯正治療法といえると思います。
顎顔面矯正で改善される症状
子供の頃に始める小児矯正のメリットは「歯を抜かない」「自然でキレイな歯並びに仕上がる」ということだけではありません。上顎や下顎の発育不良を改善してバランスを整えることによって、体が本来持つべき正常な機能が取り戻され、健やかな成長に繋がるといわれています。
たとえば、上顎の発育が悪いと鼻での呼吸が困難です。鼻で呼吸ができないと、口で呼吸するようになります。習慣的な口呼吸は、次のような症状の原因になります。
- 鼻づまりや鼻炎の症状
- いびきをかく
- 昼間の眠気
- 睡眠時無呼吸症候群
- ぜんそくやアトピー等のアレルギー
- 食べ物が噛みにくい
顎の骨の成長を促す顎顔面矯正では、鼻の通りがよくなり、正しい呼吸法が身に付きます。よって、このような症状への改善も期待できると注目されています。
症例のご紹介
ヘッドギアによる臼歯関係の改善および上顎犬歯の開窓、牽引を行ったケースをご紹介します。
「矯正治療はやりたくない」と矯正相談中ずっと泣いていたお子さんが、お母さまに引っ張られて渋々治療を始めることとなりました。開窓、牽引を早急に行わなくても良い状態であったこと、お子さん本人が治療に対して前向きでなかったことなどから、先にヘッドギアによる臼歯関係の改善を開始しました。
臼歯関係の改善を行ったところ、お子さんが治療に対して前向きになり、噛みやすくなったと喜んでいました。また、お母さまからは、うまく噛めないからと言って食べなかった大きく切られた肉も、治療してからはたくさん食べるようになり、身長も伸びてきて本当によかったとのことでした。
お子さんも次第に治療に慣れ、歯磨きもしっかりできるようになりました。今では、私の身長も一気に追い越し、部活に勉強にと励んでいる姿を見ると、胸がいっぱいになります。お母さまとお子さんに寄り添った矯正治療を行えたことは、私自身も心に残る経験でした。